腋窩リンパ節郭清:乳癌 診断と治療とこれからのことを考えよう 

乳癌の診断法(マンモグラフィーや超音波検査)から手術療法、そして補助療法としての抗癌剤、遺伝子治療、放射線治療などの方法、そして再発に対する予防、心構えなど、今まで乳癌の女性を見てきた医師が各種情報を紹介します。

腋窩リンパ節郭清

癌は広がる道筋として、癌そのものの周囲の組織、リンパ管の中、血管の中と、大きく3っつの広がり方があります。

以前乳房切除術が行われていた時代には、術前検査で腫大したリンパ節が有ってもなくても、腋窩リンパ節郭清(リンパ節が有るであろう腋窩範囲を根こそぎ切除し、癌が流れているかもしれないリンパ管やリンパ節きれいに取りきる手術)を行っていました。


現在では、全身に転移をもたらす経路は血管の中にガン細胞が入っていく、血行性転移というものが一般的であると考えられてきており、リンパの流れを根こそぎ切除する、リンパ節郭清ということは行わなくなってきています。

しかし一方では、転移があるリンパ節を残してきた場合には、そのリンパ節が新たな癌の流れの元、となり得るので、転移があるリンパ節を残してくるべきではないと考えられています。

以前は脇の下以外にも更に広い範囲のリンパ節を取っていましたが、このような大きな手術して、患者さんに負担を強いても、結局は、そのあとの生命予後に影響を与えないということが分かってきました。
また、そのような広いリンパ節に転移をしている癌を手術的には治癒させることができないし、現在は、手術以外の抗がん剤などの治療法が進歩し、手術と抗がん剤などの薬物治療で治療効果に差がないということも分かってきました。

脇の下のリンパ節の郭清術を行うと、かなりの率で副作用が生じることも分かっています。それは、リンパの流れを止めてしまうことによる副作用で、手術した側の腕のむくみ(浮腫)が生じたり(10~20%に起こると報告されています)、かなりの確率で腋の下方や上腕の皮膚の知覚異常がみられると言われています。

では、リンパ節を取ることのメリットはもう無いのかというと、そうではありません。
実は、リンパ節に転移があるかどうか、つまり、今の乳癌がどのくらい進行しているのか、今後癌はどのくらいの確率で治るのか、遠隔転移をする確率はどのくらいなのか、などの予測はリンパ節を取って正確に今現在どのくらい進行しているかを確認してみないと分からないのです。

ですので、外科医はみんな、リンパ節を取ることのデメリット、メリットを考えて、手術前にいろいろと検査した結果から、どこまで取るかを考えているのです。


 


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